フランス語の前置詞がよく分からなかったので「英仏比較で覚えやすいフランス語前置詞マスターガイド&ドリル」を買ってやってみた感想

フランス語の文法について、名詞の性だったり、動詞の活用がややこしいのは

なんとなく分かるが、大抵参考書の中でかなりのページを割いて説明があるので、

やれば意味はわかってくる。

 

動詞の活用も、数はあるが、現在・過去・未来で、過去・未来が2パターンずつ、

その他で条件法・接続法などがあるくらいで、意味も英語で使われているものの

イメージから何となく察せられる。「要は覚えればいいのね」ということで、

個別にゴリゴリ覚えればいい。

 

一方で前置詞は、「そもそも何故それが使われるのか」「なぜ似たような意味なのに、この場合はdeで、この場合はenなのか」がさっぱり見当がつかず、

読んでいる際にはなんとなく流せても、書く・話すとなると、途端に思考停止してしまう。

 

その割に、ちゃんと前置詞のイメージを説明するような参考書が少なく、

あっても「中級者向け」以上の参考書になるようだ。

(探せてないだけで、本当はあるかもしれないけど)

 

欲しかったのが、英語で言うと大西泰斗先生の「一億人の英文法」とか、

前置詞の核となるイメージをわかりやすくまとめたような本だったのだが、

フランス語の方ではあまり良さそうなのがなかったので、特に前置詞について

まとまっている本を買うも、なかなか手強い内容だった。

 

「英仏比較で覚えやすいフランス語前置詞マスターガイド&ドリル」

を買って一通り解き進めているのだが、解説が少なく、

英仏比較をすることによって、かえってややこしいことになるケースがある。

 

例えば、「〜で死ぬ」の時に、die of ~ で英語で表現するところを、

フランス語の方でも、ofに相当する"de"で表すということで、

そこは関連づけられる。

 

一方で、英語ではof単体で表される表現が、フランス語では、

複数に分かれる、などの場合、「どういうニュアンスで区別するか」が

特に書いていないので、読み手の方で調べたり推測するしかない状態になっている。

 

かなり序盤で困惑したのが、「(〜の場所)で」という表現について

「パン屋で」、と言いたい時の空所補充設問で、

 

(  ) le boulanger

 

という設問があったので、場所のá(英語で言うとat)を指してるのかな、

と思いきや、回答は「chez(〜の家で)」だった。

 

chez自体は知っていたものの、何故この時はchezを使うのか、

そしてáではいけない理由は何なのかを知ろうと、解説のページを見ると、

 

á la boulangerie / VS / chez le boulanger

 

と1行だけ書いてあり、さらに横に謎のイラストが描かれているだけだった。

(á la boulangerieの横にパン屋の絵、chez le boulangerの横にコックさんの帽子)

 

これ、最初前置詞が違うだけで他は一緒かと思ってしまったので、

「いや、これ何が違うの?」と思って他のページを見ても具体的に何も描かれていない。英語ではそもそもこんな違いを意識しない(と思うけど、意識してたらすいませんので、どんどん混乱する。

10〜15分くらい悩んだ後に、試しに辞書を引いてみると、

 

「chez + 名詞(職業)で、その場所を表す」

 

とあった。

 

で、もう一度さっきの1文を見返すと、boulangerie と boulangerの

語末が違っていて、どうやら英語と同じような感じでboulangerの方は

「職業」を指すらしい。

 

もう少しいろいろ調べてみると、chezのイメージはやはり「〜の家」だが、

日本語で言うと、「〜さんのところ」というのが適切そうで、

chez le boulanger というのは「あのパン屋の人んところ」みたいな訳とするのが

しっくりきた(一方で、á + 業態(店)の場合は、その場所を指すので、áを使うイメージ)。他にも je travaille chez Toyotaだと、「トヨタで働いていた」、という意味だが、「トヨタさんところで」という感じで、人扱いしてんのかな、と思えば、

áでもdansでもenでもなくchezなんだな、と納得いく気がする。

 

もちろん、ちゃんと単語をやっていれば(あと冠詞も違うので)上記の違いに

すぐ気付けたのかもしれないが、先入観も相まって、

その違いに気づくことはできなかった。

自分のレベルの低さを棚に置いて人を指摘するのはよくないとは思うが、

せめて一言「職業」という語を、テキストのどこかにちらっとでも書いてもらえれば、

気づきやすくなるきっかけにはなったんじゃないのかな、と思う。

 

また、間違いやすい・混同しやすいポイントは、「何が違うのか」

「どう使い分けるか」を多少書いてもらえるとありがたかったが、

ほとんどそれは書かれていなかった。とにかく日本語での説明が極力省かれており、

問題を解いてみて初めて自分の理解が及んでいなかったことを認識できる構造になっている。

 

ただ、序盤にこれがあったおかげで、辞書を引いたりネットで調べて

知見を広げる手法が身についたので、「自分で考える力」を伸ばすには

良い教材だなと感じた。嫌味みたいになってるけど、参考書をひたすら読むよりも、自分で答えを「作り出す」作業は、パズルを解くようで楽しい。

 

問題数はかなり多く、用例を見比べると似たような前置詞の違いが浮かび上がってくるので、ちゃんとやれば力はつきそう。いろいろしんどいところもあるが、この本がなければ前置詞の学習方針を全く立てられなかったので、最終的には買って良かったし、やれてよかった。

やればやるほどフランス語の理解が深まるような気がしており、

特にenのイメージがやる前と後で大分変わり、英語のinと同じかと思いきや、

非常にクセのあるやつだということがわかった。

 

でも、自分の考えが本当に合っているかは定かではないし、

上記のchezのイメージ的外れなものかもしれない。

独学でやるとそういうことが起きるので、いずれは答え合わせをしなければいけない。

 

仏検3級までは独学で」というのはよく記事で見るけど、その先は獣道というか、

先生につく・つかないは別にして、自力で学ぶ姿勢が無いと、身についていかないのかなぁ、と思った。